魔道ねこの目線

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悪代官が多すぎる

平成も終わりに近い今の日本は、まるで江戸時代にでもタイムスリップしたかのようだ。

テレビの時代劇なら、悪代官や、彼らと癒着した大店の悪徳商人が、貧乏人から搾取して私腹を肥やす。

器量のいい若い娘は、騙されるか拉致されて、金持ちや権力者の慰み者にされたり、借金のカタに遊郭に売られたりする。

末端の貧乏な武士の家に生まれた子供は、厳しく育てられたおかげで立派に成長しても、出来の良さを出来の悪い金持ちのバカ息子に妬まれて、集団いじめに遭ったり、足を引っ張られたり、濡れ衣を着せられて一族郎党みな殺されて、御家取り潰しに追い込まれたりする。

必殺仕事人でもいない限り、誰も助けてはくれない。
子供や娘は容赦なく殺されるか売り飛ばされ、息子は父親と一緒に切腹に追い込まれる。

けれど、仕事人が登場するのは決まってこの後だ。

「どうか‥.このお金で、晴らせぬ恨みを‥‥‥」というのがパターンで、絶対に間に合うように助けてはくれない。

トーカー事件で、毎回のように手遅れになってからでないと動かない警察みたいに、事件が起きて被害者が出て(依頼されて)からでないと、仕事人は動かない。

権力者や金持ちが徒党を組んで、階級ピラミッドの下のほうにいる層を、搾取し、使い捨て、貧困や自殺に追い込んでいる‥.それが今の日本で当たり前になっている社会構造だ。

悪代官の時代には、それは権力者や金持ちの特権と見なされていた。

戦後の、物もない代わりに階級も特権もない時代に生きて、バブル期に一億総中流社会を過ごした団塊の世代は、今もその夢の中にいる。

努力すれば報われたのは、彼らが、たまたまそんないい時代に生まれたからだ。
江戸時代や平成日本に生まれて、努力したって報われないことを思い知っている者たちの真実を、現実を、いい加減に直視してもいい頃だと思う。

格差社会という言葉だけがメディアに取り上げられているせいで、個人の努力で格差の壁を乗り越えられるかのような錯覚が生まれている。

実際に戦後の復興期に、ひと財産や大企業の基礎つくった成功者の例を見聞きしている者たちは、今もそれが正しいと信じて疑わないのだろう。

でも、落ち着いて考えれば、そんな「いい時代」のほうがめずらしいことに気づくはずだ。

江戸時代以前の戦国時代だって、ひと握りの特権階級が下層階級を搾取していたし、戦争になれば、兵隊に取られるか、見境なく殺された。

戦争のない江戸時代だって、下層階級が搾取される構造は変わらなかったし、平和なぶんだけ特権意識を持つ者が増えて、下っ端役人ふぜいまでもが弱者に向けてささやかな特権を振りかざした。

戦時中も、負けが決定的になるまでは、自分を特権階級だと信じる者は特権を振りかざし、恥知らずなふるまいや非道な行いを繰り返した。

全てを失って、敗戦の焼け野原から立ち上がってからバブル期ぐらいの短い期間だけが、たまたま別格だったんだ。

バブルが弾ける前から、日本人はまたおかしくなって、政治も経済もおかしくなっていった。

バブル経済崩壊後には、成り上がり者は淘汰されて、その犠牲と引き換えに、上手に立ちまわった特権階級だけが再び特権を独占する時代に戻った。

努力すれば報われたのはその頃までだ。会社や工場の歯車にすぎない一般社員でも、その頃までならローンを組んで家も車も持てたし、借金を完済してから引退して、悠々自適の年金生活も送れた。

今はそうじゃない。ずっと頑張ってきた中小企業は、過半数が淘汰された。
税金も年金の掛け金も上がり続け、受け取る年金は減り続け、もう年金だけじゃやっていけなくなっている。

教育費や学費も年金同様に上がり続け、しかし低所得層は増え、貧困層がここまで増えているのに、借金をしてでも大学に行かないといけないような意識を、学校や制度から植えつけられている。

会社都合のリストラで、消費者金融で借金しなければ生活費にも困窮する層が一気に増えたリーマンショック後みたいに、借金しなければ大学の授業料も払えない層が相当数増えると、消費者金融もどきの商売をする大学が増えた。

大卒の新社会人相手に、情け容赦ない搾取をする企業も昔は多くはなかったし、そもそも貴重な若い人材を使い捨てにするようなやり方は認められなかった。

悪代官や越後屋が、貧しいながらもそれまで幸福に暮らしていた人々を、物品のように売り買いしたり、使い捨てにした挙句、最後には用心棒に始末させてしまう‥.時代劇でよく見るそれと酷似した光景が、平成日本のそこかしこに存在している。
悪代官に代わる政治家や官僚、越後屋もどきの大企業なんかが、ピラミッドの下の方の人々を再び支配し、使い捨てにしているのだ。

私の目には、そう見える。
おそらく、この国のスタンダードはそちら側なのだ。
悪代官が多すぎる‥.