魔道ねこの目線

魔道ねこは修行の旅に出ます。ブログタイトルや本文を無断で使用されるスパム事案に対処しきれないので(>_<)引っ越して新しいブログと名前になります。気が向いたらまた戻ってくるかも〜ヾ(*ΦωΦ)ノ

非正規公務員の時給700円台 安倍政権、働き方改革の罠


先日、非正規公務員の時給700円台が相次ぐという記事を見かけた。日経だったと思う。

安倍政権主導による『働き方改革』で、「同一労働同一賃金」が企業に求められるなか、地方自治体の非正規職員の待遇改善が遅れているという内容だった。

自治体ごとの非正規の人数や待遇を調査して分析したところ、1時間あたりの賃金が800円を下回るケースが続出。通勤交通費を支給していない団体も400を超え、非正規の劣悪な実態が浮かび上がった…だそうだ。

最後の交通費については、おそらく「自治体レベルの常識」も幅を効かせているのだろうと思いますけどね。


私は公共交通機関の利用に不自由しない政令指定都市に長く住んで、そこから「新幹線が停まる駅前だけは割とそんな感じw」な地方都市に引っ越しました。

興味半分で個人的に調べてみると(PC検索しただけ)その地方都市では、ハローワークの求人の過半数が「車通勤可」で、パートやバイトもマイカー通勤が前提だからか、『交通費は出ない』のがこの地域の求人には多いようだと気づかされました。

それまでずっと都市部で生活していたため、通勤の交通費も出ないような会社は何か問題アリなんだろうぐらいに思っていました。

そもそも車通勤可なんて募集求人じたい見たこともなかったので、業種を問わず求人の過半数が車通勤可とか、とにかくカルチャーショックを受けましたね。

「交通費がかかるほどの距離を通勤するならマイカーで通え!」が、交通網が貧弱な自治体の現実であり常識らしいと、その時はじめて知りました。


実際問題、マイカー通勤でもしないことには、地域によっては電車もバスも、郊外線などは、ありえないほど路線や本数が限られていたりします。

ちょっと郊外へ行けば、道は狭いのに車だけは多くて、雨の日のラッシュ時など、バスの路線の国道や県道には大渋滞が発生したりもするのです。

同一県内で、県庁所在地がある政令指定都市から、県で第2の某市へ転居しただけなのに、ここまで違うのかと驚くくらい、交通機関事情から募集の求人数や条件、市民の意識や感覚に至るまで、自治体が異なると、全てが違っていました。

具体的な例を挙げる前に、非正規公務員の実情等はたくさん見かけるので、この場では、一般的なサービス業に絞った調査と分析を経て、さらに特定の業種にしぼった考察であることをお断りしておきます。



聞いた話ですが、私が住む県内第2の某市では、サービス業で車通勤できないのは致命的だ、と考える人々が多いようです。

居酒屋でも美容室でも、「人手が足りない店舗へ応援に行くため」に、「スタッフはマイカーで通勤。必要な時には応援に動けて当たり前」が地元の常識らしいのです。

でも、ハローワークの求人票を調べても、それらの募集のどこにも「要普通自動車免許」とは、何故か記載されていないのです。


たとえば美容師なら、必要な資格に美容師免許とは書いてあっても、これもほぼ必須らしい自動車免許は書いてなくて、面接に行ってから「車に乗れないんですか?」と言って採用を断られたという話を聞きました。

理由は「移動の足がない」と他店へ応援に行けないし、残業で帰りが遅くなった場合に、曜日によっては帰りの交通手段がなく(最終バスが早い!)、車で迎えに来てくれる家族がいなかったからだそうです。


地方都市では運転免許とマイカーは持ってて当たり前。わざわざ求人票に記載するまでもないという感覚が、公共交通機関が不便な地域ではスタンダードなわけです。

私も地方都市へ転居後は、友人や仕事関係の知人から、自動車免許を取得するように何度も勧められました。

長年ずっと住んでいた都市部では、免許が取得できる年齢になって以降も、そんな話題が出たことはなかったし、高校卒業前や大学生で取得した者たちも、運転免許イコール身分証みたいな意識のようでした。

車がないと通勤や買い物に不便だ、結婚して子供が生まれたら絶対に必要、年をとったら病院に通うのに必要になる…地方都市で暮らすのなら、公共交通機関に頼るような都市部居住者の意識を変える必要がある、洗脳してやるぞと言わんばかりの説得攻勢でした。


これがなかなか面倒くさいというか、ずっとこの地に住んで、そのまま骨をうずめる覚悟が前提みたいな「大きなお世話」というやつで、また都市部へ戻ることになったら必要なくなるから、という本音の意見はなかなか言わせてもらえません。

交通手段の不便な地域での交通費の感覚の違いや、非正規の扱いに関する意識なども、こういう「それが当たり前」という偏った考え方に縛られて、それに慣れてしまう意識が原因や問題であるように感じられました。



話をもどすと、都市部の美容師も本店や支店への応援はよく聞く話で、たとえば「本店からの応援のひと」を気に入って、指名したことがあるひともいるのでは?

いくつも支店があるような規模の美容室だと、店を動けない店長や幹部以外のスタッフで、あらかじめ応援用のローテーションを組んで、応援業務もきちんとシステム化されている場合が多いという話を聞いたことがあります。

これがちょっと地方の都市になると、地元の個人経営の店主が支店を1つか2つ持ってみたものの、もともとギリギリの人数のスタッフで回していたりします。

そうした店舗ではスタッフは、忙しいからすぐ来てくれと呼ばれて、マイカーで支店へ応援に行き、手が空いたら帰っていいよと戻されるみたいな、人手不足を補うバイトのような、雑な扱いを受けることも少なくないようです。

困惑するのは、雑な扱いだと思うのは私だからで、地域住民というか、そういうのが当たり前で育ってきたひと達には、雑な扱いをされている意識がなかったりすることです。

そのせいか、応援の帰りに勝手に遠回りして個人的な買い物に寄り道したりしても、それはそれで大目に見られたり、問題だと思う部分に、こちらとは異なる落差があったりもします。

先刻のマイカー通勤できないから不採用になったという話も納得がいく、地方都市と都市部とでは、異なる意識や考え方が存在しているのがその辺りからも読み取れますよね。


ここで冒頭の「働き方改革」の「同一労働同一賃金」の話に戻るわけですが、これ、肝心な部分がわざとごまかされた制度だって思いませんか?

同一労働同一賃金」でなく、『同一労働同一待遇』でないからおかしな格差が出るのではないでしょうか。

つまり、同一待遇には処遇も賃金も含まれるけど、同一賃金には『待遇の格差』は含まれないわけです。

これをさっきの美容師の応援の例に当てはめてみることにします。


スタッフの人数にゆとりがあり、応援のシステムがきちんと確立されている大手の美容室の場合は、本店Aと支店Bとでスタッフを共有しても、さほど不都合はありません。

勤務地が異なる曜日があらかじめ決められて、応援先での仕事の担当や内容も明確にされて、いわば正社員でありながら、応援業務として一時的に派遣スタッフ的な扱いをされるだけです。

もちろん公共交通機関等での移動にかかる交通費も、領収書を提出するなどしてきちんと支払われます。

応援に行った先で指名がついたり、所属店へ友人知人を紹介されたり、システムには含まれないメリットもあるかもしれません。

それぞれの店舗の店長同士で、互いにスタッフ評価や意見交換ができたり、スタッフ同士も互いに刺激されて、切磋琢磨する機会が得られるなど、応援業務によっていつもより通勤が不便だとか、帰りが遅くなるといったデメリットを上回るメリットもありそうです。

これならば、所属店での正規の勤務も、他店での応援業務も、きちんと待遇面まで考慮された「同一労働同一待遇」と呼べるでしょう。


ではこれが、「忙しいから今すぐ応援に来てちょ」といった、個人経営規模のアバウトでシステム化されていない、バイト扱いみたいな雑な応援業務だったらどうでしょうか?


一般的に、店舗経営の規模が小さくなるほど、マニュアルやシステム化とは無縁になるものだろうし、計画的に店舗展開しているような大型店と、地方都市の個人経営の美容室の支店とでは、あるゆる部分で事情も待遇も違ってくるでしょう。

応援先で忙しい時間帯にせっせと働いて、やっと放免されて帰ってみたら、今度は所属店のほうが忙しくなっていて、応援に行ったせいで他のスタッフの2倍も忙しい思いをする。不公平に思えますが、それでもたぶん賃金は同じです。

また、マイカー移動での応援のガソリン代は出るのだろうか?もしも途中で事故を起こしたら、労災とか保険はどうなるのだろうか?そうした問題も出てきます。

応援に行った先で、駐車場のマイカーが当て逃げされていた場合の補償はあるのか?

他にも、忙しい時だけ呼ばれる応援業務では、所属店で担当している仕事内容に比べて、アシスタント的な雑用が多くなるなど、個人的な業務上の不満も生じるかもしれない。

そこまでは仕事と割り切れても、例えば応援先に仲の悪い相手や、問題のある先輩なんかがいて、わざと雑用ばかり押し付けるといった、いじめに近い扱いをされることも、スタッフの扱いが雑でも見逃されているような規模の店舗では、避けられないかもしれません。

こうなってくると、とうてい同一労働同一賃金ではあっても、同一待遇とは呼べないですよね。
というよりも、賃金が同じなら、待遇に差がありすぎではないでしょうか?



多くの場合、非正規の派遣スタッフは、様々なメリットや待遇も考慮された前者の大型店のような応援業務ではなく、後者の個人経営の美容室の例に近い、都合よく使われるバイトみたいな雑な扱いをされているのではないでしょうか。

同一労働同一賃金の「労働」の部分を、『低い待遇』のほうに合わせて劣悪な勤務を強いるのが、いわゆるブラック企業ですが、そのやり方は、非正規公務員でも一般業種でも同じなのかもしれません。


同一労働同一賃金と聞くと、働く側からしてみれば、「良い方向に改善されるイメージ」がありますが、雇う側の視点からの導入だったり、初めから経費節減が目的の非正規採用だったとすれば、期待はずれなほうが多いのではないでしょうか。

低いほうに合わせて、待遇も賃金も下げることを、同一労働同一賃金だなどと考える自治体や企業が増えたのでは目も当てられません。


ここでは美容室のスタッフの応援業務という例を挙げてみましたが、同一労働同一賃金には、こういう落とし穴があるんですよね。

同じ仕事だから賃金も同じと聞けば、一見一聞は公平そうに思えますが、「賃金は同じでも待遇は異なる」という部分を故意にスルーしているとしか思えません。

一般業種や公務員でも、正規社員と非正規社員とでは、同じ仕事をしても、昇給や福利厚生や交通費のあるなしといった待遇面が異なるかもしれないし、慣例によって「待遇が異なるほうが普通」だったりもします。

意識改革や待遇の改善を抜きにして、単に正規も非正規も同一労働には同一賃金というだけでは、解決できない問題を多々含んでいるように思われます。

こうした部分をうやむやにしてごまかすのは安倍政権の専売特許なので、同一労働同一賃金と言われても、そのまま鵜呑みにするのは危険だと思いますね。