魔道ねこの目線

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NASAの火星探査機を魔道ねこがSF目線で斬る

 


合衆国航空宇宙局"NASA"が火星探査機「インサイト」を5日、打ち上げた。半年後の11月末に火星の赤道付近に着陸する予定だ。

朝日新聞DIGITAL 2018年5月6日】

魔道ねこが気になったのは、日本では火星探査機の記事よりも扱いが小さかった、4月末の記事のほうです。

 

『8ヶ月たなざらしNASA長官、1票差で承認』

連邦議会上院がトランプ米大統領による指名から8カ月たなざらしになっていたNASAの長官に、共和党のジェームズ・ブライデンスタイン下院議員(42)をあてる人事案を承認した。

近年、全会一致で承認されてきたポストだが、過去の発言や経歴から資質への疑問がでて共和党以外が反対。賛成50票、反対49票と薄氷の承認となった。

ブライデンスタイン氏は元米海軍のパイロットで、初の政治家出身の長官となる。

2016年に「宇宙ルネサンス法」の導入を推進するなど宇宙政策に理解があるとされ、昨年9月にトランプ氏に次期長官に指名された。

一方、これまでのNASA長官を務めた宇宙飛行士や研究者・エンジニアに比べ、科学の学位や宇宙開発の実務経験がないことや地球温暖化に懐疑的で、同性結婚に差別的な発言をしたことが問題視されてきた。

また政敵を厳しく批判してきた姿勢から、「政治的すぎる」と共和党の一部議員も反対し、投票が先延ばしになっていた。

朝日新聞DIGITAL 2018年4月20日より引用】


さて、このところアメリカが、急に月だの火星だのと言いだした理由は一体なんなのでしょうか?

トランプ政権といえば、保護主義政策で激化する貿易摩擦が話題になってますよね。

こういうことをやるひと達が、たとえば月や火星の利権なんかを手に入れた日には、月(の土地や資源)も火星(の資源)もアメリカのものだ!とか言い出しそうじゃないですか?

ぶっちゃけ、それが目的の月や火星探査だったり、ロケット開発だったりしてね。

あるいは、既にロシアか中国あたりに似たような動きがあって、遅れをとってはならないと考えたという可能性もあります。

こういう人達って、面と向かってそこを指摘されても、「利用価値のある資源がそこにあるのなら、手に入れて有効活用するのが当たり前じゃないか」とか平気で言っちゃうんですよね。

他にも「月でも火星でも、いずれ誰かが開発して利用するに決まっている。だったら我々がその先駆者になる」なんてことも言い出したりするので困ってしまいます。

ひとことで言うと「視点が違う」んですよね。

何でもかんでも政治と経済に直結させて、宇宙創生の秘密だの学術的見地からの意見だの、研究のための現状保存や環境保全なんてシロモノは、薬にしたくもない。

「そんな腹の足しにもならないものに資金が出せるか」で片付けてしまうわけです。

それがそのまま「そんなことをやってる間にロシアや中国に先を越されたらどうする⁈ 」になるわけですね。

ここで思いきって、月や火星には自由に利用可能な資源があるという前提で、政治家出身のNASAの長官が誕生したのだと仮定します。

おそらく資源は「ある」はずですが、現段階では、いくら欲しくても取りに行くにはちょっと遠すぎるという問題がありますよね。

仮に月に100万円の価値がある鉱石があったとします。

それを掘り出して地球に持ち帰るのに1000万円の費用がかかるとすれば、全く商売にはなりません。

そんな役に立たない石ころなら、安い予算でヒマな学者に研究でもさせておけ、という話になるわけです。

でも、この1000万円の経費を100万円より低く抑える手段があって、手に入れさえすれば、欲しがる相手に200万円で売れるとしたら?

それならば「学術的資料として貴重な鉱石だろうと、売って儲ける」ことを優先しようと考える人間が出てくるわけです。

輸送にかかる距離は必ずしも解決不能な問題ではなくて、100年前なら太平洋の向こうから生鮮食品を輸入するなんて夢みたいな話でしたが、今では普通にやってますよね?

世界規模での流通や貿易といった一大事業を可能にした背景には、互いに侵略や戦争をしていないことと、それまでのものとは根本的に異なる輸送革命が必要だったはずです。

それが可能だったから、今現在はアメリカの肉や果物、ブロッコリーみたいな生の野菜まで普通にスーパーで売られてますよね。

じっくり考えてみると不思議な気がするので、ちょっと想像してみてください。

スーパーで150円程度で売ってるアメリカ産のにブロッコリーは、どのくらいの時間と費用をかけて、どうやって日本へ運ばれてスーパーの売り場に並んでいるのでしょうか?

太平洋を越えてくるような生の野菜を、そんな価格で売れる輸送手段とはどういうものだと思いますか?

まず船便じゃダメですよね。

船の中でブロッコリーを栽培でもしない限り、どんな新鮮な野菜だろうと、アメリカを出発して日本に着く頃には、積荷は到底売り物にはなりません。

ではどうするか?ここを解決する手段が見つかったからこそ、アメリカのブロッコリーやメキシコのアスパラがスーパーで売られているわけです。

誰もが知ってるところでは、ジュースの場合には「濃縮果汁還元」という方法が編み出され、お肉ならカチンコチンに冷凍すれば、船でのんびり運んでくることも可能になりました。

この冷凍技術の発達で、今日では遠くの海で大量に水揚げした魚も、その場で冷凍して新鮮なまま持ち帰って、消費者に安く提供できるようになりました。

これを日本とアメリカの二国間から、月と地球のレベルにまでスケールアップします。

 

重力の低い月から地球に向けて、資源となる岩の塊やコンテナ入り鉱石を、ほとんどお金をかけずに送る手段が見つかるか、これまでにはなかった別の方法で解決できるとしたら?

岩の塊のままではなく、その場で必要な鉱石だけを取り出して加工もできる技術が確立されたとすれば?

いっそそれを地球外で各国に売りさばいて、地上に持ち帰るかどうかは各国が自分で決めればいいし、そのまま宇宙で人工衛星をつくるのに使ってもいい。そういう取り決めになったら?

これって、3Dプリンターが実用化された現在では、それほど突拍子もない空想だとは思えませんけどね。

こうなると、地球外での資源採掘話は一気に具体化してきます。

単純に何かカタパルトみたいな装置で地球を狙って、打ち出した荷物を任意の衛星軌道に乗せられるなら、距離や重量の問題じゃあなくなるわけです(たぶん)

たとえば、これまでなら、月に設置するカタパルトをつくる材料や加工する機材、必要な装置類なんかをどうやって月まで持っていくかは、方法やコストも含めて重要な問題でした。

でも、もしもこれがAIと組み合わせた3Dプリンターひとつで片付いたら?

残る問題は宇宙ステーションが乗ってる軌道に、どうやって各国の人工衛星その他を避けて岩の塊を乗せるのか、みたいな技術的な問題になります。

それを地球にどうやって無事に降ろすかも、そうする必要がある国や誰かが、解決策を見つけるかもしれません(既に見つかっていたりしてね)

あんまり小さかったり耐久性がイマイチだと、成層圏突入で燃え尽きてしまうし、かといって大きなものをヘタに都市や街に降ろそうとすれば、ひとつ間違えたら大惨事です。

それではと太平洋のど真ん中に落としたんじゃ、水没してとても回収できないとか、回収しやすいように岸に近く落とせば、落下速度と重量しだいでは沿岸の国や街に津波の被害が及ぶかも…?

こんな感じに、ひとつ解決すれば、その先はどんどん具体的に解決可能なレベルでの問題になります。

方法が確立されれば、AIが最適な数値を算出して、制御も一切お任せで、オペレーターは緊急事態にボタンを押すだけみたいなことになるかもしれません。

ここまでくれば、大陸間弾道ミサイルに代わる、キラー衛星みたいな新兵器を考え出す者だっているかもしれません。

20世紀末の東西冷戦時代には、東西の大国が、お互いに多数のミサイルで狙いをつけあって、「ボタンを押したらおしまい」という壊滅的事態を逃れるために抑止力が働いて、全面核戦争は回避されました。

今度はそれを衛星軌道で、地上のミサイルの代わりに別のものを配置しようと考える馬鹿者が現れるかもしれません。

そうなると、今度はその攻撃に対抗して、それをはね返したり、国全体を覆う強靭なバリヤーみたいなものが開発を急がれて、あっという間に実用化されるかもしれません(もうしてるかも?)

インターネットが元々は米軍の機密で、敵に察知されない連絡手段として開発されたように、国同士の戦争や政治や利害がからんでくると、一般市民の知らないところで、いまこの瞬間にも誰かが、今はまだ知られていない新しい技術を編み出しているかもしれません。

この先、各国がこぞって打ち上げるかもしれない月や火星探査機は、じつは自国の監視衛星やキラー衛星を最新型にバージョンアップするのが目的だったりして?(ホントにありそうでコワい)

まぁこんな感じに空想(妄想?)してゆくと、某国の自国ファーストや保護主義の根底にあるのは、おそらく先々でこういうものが開発されるだろう目処が立っていて…みたいな読み方だってできるわけです。

そこへ政治家出身のNASAの長官ですか?それってどうなの?という疑問に基づいてこれを書いてみました。

そうでなくても、某国のならず者大統領の登場で、世界情勢は一気にきな臭くなったし、それに便乗して核を切り札にしようと目論む小国のトッチャンボウヤも世界を騒がせてくれました。

さらにその両方に便乗して、無用の危機を煽ってでも一強支配による現政権存続を企てるような恥知らずもいるわけです。

話が妙な方向に進んできましたが、いつもこんなことばっかり考えているわけじゃないですからね (^◇^;)

本当は、他国の技術開発の遅れや資金の問題で実現しなかった、民間による月面探査レースの話を書こうと思っていたんです。

資金不足や技術的な問題で、途中で多くのチームが脱落するなか、最後まで生き残っていた日本のHAKUTOにはぜひ優勝してもらいたかったんですけどね。

というか、このニュースを聞いた時からずっと私の頭にあったのは、ハインラインの《月を売った男》という物語でした。

 

これはアポロ11号が存在しなかった世界で、民間人がロケットを開発して月へゆくという物語です。

ここでもやはりネックになるのは資金調達と技術的な問題の解決手段です。

ロケット開発だの宇宙航法だのといった技術は国家機密扱いだし、潤沢な資金を研究に費やせる国家事業とは異なり、民間の企業やチームがつぎ込める資金には限界があるからです。

物語の詳細を知りたいひとは各自で調べるか読んでもらうとして、結果的にロケットは月に到達して、月旅行へも気軽に行ける時代が到来します。

けれど、子供の頃からずっと月へゆくことを夢見て、ロケット開発の資金繰りに駆け回り、この計画の立役者となった主人公は、最後まで月へは行けずに終わります。

主人公がいなければ、始まったばかりの計画は頓挫してしまうし、成功しても、その後が続かなければそれまでになってしまいます。計画が軌道に乗り始めても、責任者である彼を月旅行に行かせるような危険は冒せません。そんなお話です。

特筆すべきは、民間によるロケット開発にはどんな問題があって、どう進むのかというリアリティが半端なくて、だからHAKUTOの挑戦に重なったのだと思います。

じつはこの《月を売った男》には《鎮魂曲》という後日譚があります。

歳月は流れて、月旅行が誰でも行けるものになった頃になっても、主人公は未だ月へ行けずにいます。

彼は年老いて、地球を脱出するロケットの負荷に心臓が耐えられないのです。

さらに、数々の事業の成功のおかげで大富豪となった今、彼が亡くなるか、彼の後見人になれれば、多額の遺産や財産を手に入れられると考える欲深い親族に行動を監視されていました。

しかし、彼はまだ月へゆくことを諦めていませんでした…この先は《鎮魂曲》を読んでください。

ハヤカワSF文庫の『地球の緑の丘』という短編集におさめられています。

思わずウルウルきそうな短編が他にもいくつもあるので、おススメです。

こういう本を読んでから、これまでとは違った視点でニュースを眺めてみると、意外な発見があるかも‥?