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アニメ銀河英雄伝説「魔術師、還らず」

 

ついにここまで来てしまいました。

GYAOで配信中の旧アニメ銀英伝、次回配信の16日の月曜日で、原作第8巻のあのシーンに到達します。

帝国軍とヤン艦隊とがイゼルローン回廊での戦いへと進むまでのくだりは、銀河英雄伝説全10巻の中でもいちばん面白い部分です。

 

帝国と同盟の全面戦争の後、表向きの和平が整ってヤンは退役。憧れの年金生活を楽しんでいました。

がしかし、退役してなおヤンの脅威を看過できずにいた帝国軍人と自国の権力者の謀略で、ヤンはとらわれの身となってしまいます。

シェーンコップらも加わった救出作戦の最中、絶体絶命のヤンはフレデリカに命を救われ、すったもんだの末に仲間たちと共にハイネセンを脱出することに…。

退役して優雅な年金生活を堪能するはずが、なしくずしに再起動するほかなくなったヤン艦隊の面々は、逃走中もお祭り気分です。

こういう時ほど盛り上がるのがヤン艦隊のカラーで、「伊達と酔狂でやってるんだぞ〜」と本気で面白がってしまいます。

もはやハイネセンへも戻れず、自分たちの居場所を失ったヤン達は、かつて一時的に彼等のホームだったイゼルローン要塞を、戦略的価値よりも優先する「じゃあ、帰るか」というノリで、帝国軍から再奪還するのでした。

 

原作第6巻からのあらすじはこんな感じで、アニメでも、まるでジェットコースターにでも乗っているみたいなスピーディで面白い展開が続きました。

ドタバタ脱出劇のそこかしこで冴え渡るシェーンコップの毒舌と、彼につづくローゼンリッター連隊も面目躍如の大活躍。

途中で地球への冒険から戻ったユリアンやポプラン達も加わって、イゼルローン要塞の再奪還計画は大成功。

稀代のペテン師ヤンの智謀知略の下、周到かつセコい準備のおかげで、ヤン艦隊の面々は、無事にイゼルローンの我が家へ帰宅を果たします。

ヤン以外の誰にも真似できない離れ業を軽くやってのける一方、同盟政府の次はエル・ファシルの政治家にいいように利用されるしかないヤンの立場と、理想の民主政治など諦めて独裁者になるべきだと再三にわたってヤンをけしかけるシェーンコップ。

追いつめられても、ヤンはあくまでヤンのままだし、シェーンコップのほうも同じです。そして、同じことは皇帝ラインハルトやエル・ファシルの政治家たちにも言えました。

属する場所や政党が変わっても、政治家の論理とやり方は変わりません。

ヤンはここでも二流の政治家に危うく帝国軍に売られるところでしたが、民衆の非難を恐れて高潔ぶったロムスキー医師のおかげで最悪の事態は免れます。

イゼルローン回廊で、勝手に戦端を開いてヤンに破れたファーレンハイトを失った皇帝ラインハルトも、躊躇なく大軍を率いて大攻勢を仕掛けます。

そしてついに帝国軍VSヤン艦隊の戦闘が勃発。

艦隊規模からして比較にならない大艦隊の帝国軍の猛攻を、多勢に無勢ながらも再三再四受けて立つ少数精鋭のヤン艦隊。

途中まではどうにか切り抜けてきたものの、交代の人員や失った艦の補充が効かないヤン艦隊は次第に窮地に追い詰められます。

乱戦の渦中で、ヤン艦隊の鬼謀奇策をここまで支え続けた艦隊運用の名人フィッシャーを失って万策尽きてしまいます。

もうこれ以上は戦えない。次に戦えば、フィッシャーという片足を失ったヤン艦隊は帝国軍の猛攻を防ぎきれずに壊滅の憂き目を見るだろう…。

その絶体絶命の窮地に陥ったヤンのもとへ、帝国軍から会談を求める入電が届きます。

とりあえず戦闘は中止、話はそれからだと、一旦は救われたことに安堵するヤン艦隊だったのですが、悲劇は、ヤンが皇帝ラインハルトとの会談へ向かう途上に待ち受けていました…。

 

こういう流れで、物語は「魔術師、還らず」へと進みます。

 

【ネタバレ注意!!ここから先はアニメ配信前の内容にもふれています。ご注意ください】

 

 

地球教のテロに斃れたヤンの時間は止まり、彼はもう二度とイゼルローンの仲間のもとへ戻れなくなってしまいました。

ここへ到達するまでの前半部分が、万華鏡のような目まぐるしさと混沌の中で、ジェットコースターにでも乗っているみたいに明るく楽しかった分だけ、世界はそこで突然おわりを告げたかのように静止し、暗い色に染まります。

司令官のヤンを失ったイゼルローン要塞は、祭りの終わりを告げるかのような落胆と静寂と哀しみに支配されます。

それは、ヤンを好敵手と認める皇帝ラインハルトも同じでした。

ラインハルトは、会談の場へたどり着くことなく亡くなったヤンに対し、自分以外の者に斃される権利など与えた覚えはない!と、怒りをあらわにします。

まだ配信前の内容まで書いてしまいましたが、銀河英雄伝説を読んでいて、このくだりを知らないひとなどいるわけないので書いてしまいました。

この会談が実現しなかったせいで、ヤンを葬り去った陰謀は、今度は帝国軍と皇帝ラインハルトへと向けられます。

この後に続くロイエンタールの叛逆から最期までを描いた第9巻は、銀河英雄伝説本編10巻中、私がいちばん多く読み返した思い入れある巻です。

 

クライマックス間近の第9巻でも、味方よりも敵の中に美質を見いだす者、他人を陥れることに昏い歓びを感じる者、死の瀬戸際にあっても信義をつらぬく者…銀河英雄伝説には、さまざまな人物の策謀や想いが交錯します。

英伝を読みはじめた中学生だった頃には到底理解できなかった考え方をする登場人物も、年齢を重ねてゆくにしたがって次第に好ましく感じられるようになってきた登場人物もいます。

長編小説だという部分も無論あるのでしょうが、長く付き合ってきた作品のお気に入りのキャラクターの成長や死は、完結した物語であっても、読みかえすたびに、以前とは異なる心境の変化を与えてくれることがあります。

そうしたことを、これまではただ漠然と思いめぐらせていただけですが、こうして文章にまとめて書き残すことで、よりくっきりと鮮明に理解できるような気がしています。

またアニメでも、活字で書かれた作品を映像で見る効果は計り知れないと思うことがあります。

一個人が活字から受ける印象を元に漠然と脳内で構築した映像と、万人を対象にわかりやすくつくられた映像とは隔たりがあって当然だからです。

というか、次回予告が原作の挿絵とあまりにも違いすぎて衝撃的だったというか、一瞬、怯んでしまったのは事実です。

気になったら、つづきはGYAOで無料配信中の旧アニメ銀河英雄伝説でどうぞ〜